午後になると疲れて動けないのはなぜ?原因と職場でできる手軽な対処法
お昼を食べた後や夕方になると、体が重く感じられ、仕事への集中力が続かなくなることはありませんか。
昼食後や夕方に訪れるだるさは、人間の体に備わっている体内時計による自然な眠気に加え、日中の緊張、活動による疲れ、さらには日々の忙しさなど、いくつもの理由が重なって起こるものです。
この記事では、午後になると体が動かなくなる理由を整理し、職場で今すぐできる時間別・症状別の対策と、明日からの負担を少しでも減らすための生活習慣を紹介します。
1. 午後に「疲れて動けない」主な原因
「お昼を食べるといつも眠くなる」「夕方になるとぐったりして考えがまとまらない」といった午後の不調は、決して一つの原因だけで起こるものではありません。まずは、午後の体に何が起きているのかを一つずつ確認していきましょう。
1-1. 午後の自然な眠気(体内時計)と食事の影響
人間の体には「概日リズム(体内時計)」という仕組みが備わっており、前夜の睡眠時間に関わらず、おおよそ午後2〜4時頃になると自然に眠気やだるさが訪れるようになっています。さらに、お昼ご飯の選び方も大きく関わります。たとえば、うどんや丼ものなど糖質(炭水化物)に偏った食事をとりすぎると、食後の血糖値が大きく上がったり下がったりするため、体の負担になります。この血糖値の変化が、体内時計による自然な眠気に重なり、さらにだるさを強めてしまいます。
1-2. 緊張が続くことによる疲れの溜まり
仕事の重圧や会議など、日中の緊張状態が長く続くと、体は常に気を張ったままになり、休むことができません。午前中はその緊張感でやり過ごせても、知らず知らずのうちに体力を使い果たしています。そのため、夕方になってようやく緊張が解けた頃に、休まらなかった分の疲れが出て、強い疲労感につながることがあります。
1-3. 座り続けることによる筋肉の固まりと血の巡り
長時間パソコンの画面に向かっていると、どうしても姿勢が前かがみ(猫背)で固定されやすくなります。人間の頭は体重の約10%(5〜6kg)ほどの重さがあるため、悪い姿勢のまま座り続けることで首や肩、腰の筋肉に負担がかかり続けます。同じ姿勢を長時間続けると筋肉が固まり、全身を巡る血の巡りが悪くなります。この血の巡りの悪さによる体の不調が、全身の「体が重い」「だるい」という感覚をさらに強めることにつながります。
1-4. 見逃しやすい栄養不足と睡眠の質
毎日きちんと食べているつもりでも、体を動かすための栄養素が足りていないことがだるさを招いている場合もあります。たとえば、女性に多い鉄分不足や、食べたものをエネルギーに変える働きを助けるビタミンB群が不足すると、普段通りに生活していても疲れを感じやすくなります。また、夜の睡眠時間が足りていなかったり、眠りが浅かったりすることで、十分な休養がとれないまま朝を迎えていることも、午後に疲れが出やすくなる大きな理由です。
1-5. 忙しさや休憩不足といった環境の理由
個人の生活習慣だけでなく、仕事の環境そのものが疲れを強めていることもあります。繁忙期による連日の残業や、休憩時間を削っての作業、持ち帰り仕事などが続けば、体を休める時間がどうしても足りなくなります。このような忙しい環境下での疲れは、個人の工夫だけでは解決が難しいため、「自分の体調管理ができていないせいだ」と自分を責めすぎないことも大切です。
2. 職場でできる手軽な対処法(時間別・症状別)
「いますぐこのだるさを何とかしたい」という時に、職場でできる具体的な行動を紹介します。自分の「確保できる時間」と「いま一番強い症状」に合わせて、無理のない方法を取り入れてみましょう。
2-1. 【時間別】3分・10分・20分でできる工夫
確保できる休憩時間に合わせて、適した方法を選んでみてください。
- 3分ある場合:ただ目を閉じて目から入る情報を減らすだけでも、頭を休める一時的な小休止になります。または席を立ち、数歩歩いて姿勢を変えるだけでも筋肉の緊張が和らぎます。
- 10分ある場合:少し長めの休憩がとれるなら、屋外を歩いて外の空気を吸うのがおすすめです。可能であれば、首や肩を大きく回す軽いストレッチをして筋肉をほぐします。
- 20分ある場合:静かな場所やデスクで仮眠をとり、意識して情報を減らして休ませる時間を設けます。
2-2. 「眠気」が強い場合の工夫(仮眠とカフェイン)
午後の自然な眠気が最も強くなっている場合は、仮眠とカフェインの組み合わせが役に立ちます。コーヒーなどを飲んでから15〜20分程度の短い仮眠をとります。飲んだカフェインの働きが表れるまでには約15〜30分ほどの時間差があるため、ちょうど仮眠から目覚める頃に頭がスッキリしやすくなり、その後の作業へ戻りやすくなります。
ただし、夕方以降にカフェインを飲むと、夜の睡眠の質を下げてしまう心配があります。夜間の良質な睡眠を守るためにも、カフェインを含む飲み物は遅くとも15時頃までを目安に切り上げるのがおすすめです。
2-3. 「体の重さ・だるさ」が強い場合の工夫(歩行とストレッチ)
同じ姿勢で座り続けることで筋肉が固まり、体が重く感じている場合は、少しでも体を動かして血の巡りを助けることが大切です。可能であれば立ち上がって歩くようにします。特にふくらはぎなど下半身の筋肉を動かすことで、全身の血の巡りを促す助けになります。
座ったままでも、肩甲骨を寄せるように肩を大きく動かしたり、首をゆっくり回したりして緊張をほぐしてみましょう。この時、鼻から大きく息を吸い、口からゆっくりと吐き出す「腹式呼吸」を一緒に行うのがおすすめです。深い呼吸は心身の緊張を和らげる手助けをしてくれます。
2-4. 「やる気が出ない・集中できない」が強い場合の工夫(作業場所の変更)
どうしても作業に向かう気力が湧かない場合は、作業する環境そのものを少し変えてみます。ずっと同じデスクでパソコンの画面を見続けていると、知らず知らずのうちに集中が途切れやすくなります。可能であれば会議室や共有スペースなどに移動し、作業する場所や姿勢を変えることで、気分を切り替えるきっかけを作ります。
2-5. 空腹感が強い場合の「少量の間食」
お昼から時間が経って空腹感が強く、力が出ないと感じている場合は、軽くお腹に入れるのも一つの方法です。ただし、砂糖たっぷりの甘いお菓子や菓子パンなどを食べすぎると、血糖値が大きく上がったり下がったりしてしまい、かえって後からだるさを感じやすくなることがあります。間食をするなら、糖質が少なく血糖値を急に上げ下げしにくいナッツ類やチーズ、無糖のヨーグルトなどを少量とる程度にするのがおすすめです。
2-6. デスクから離れられない時の「ツボ・香り」
移動や仮眠ができない状況の時は、少しの気分転換としてツボや香りを試してみるのもよいでしょう。
- 合谷(ごうこく):手の甲側、親指と人差し指の骨が交わる手前にあるくぼみ。
- 内関(ないかん):手のひら側、手首のしわから指3本分ひじ側へ下がったところ。
また、ラベンダーやベルガモットなどの香りをハンカチに1滴垂らしてデスクに置いておくのも、気分を切り替えるちょっとした助けになります。
3. 体調の波に合わせる「午後の仕事の組み替え方」
体の自然な眠気や疲れを完全に消すことは難しいため、自分の体調の波に合わせて仕事の進め方を変えることも一つの方法です。
3-1. 眠気が強い時間は「単純作業」を当てる
午後2〜4時の最も眠気が強くなりやすい時間帯には、集中力が必要な作業を避け、自分が「あまり頭を使わずにできる」と感じる作業や、「手順が決まっている確認作業」を多めに入れます。
3-2. 落ち着いた後に「判断が必要な仕事」を当てる
体内時計による眠気が落ち着き、再び頭がスッキリしてくる夕方前などの時間帯に、重要な判断が必要な仕事や、アイデアを出すような仕事を持ってきます。自分の体調のリズムを知り、それに無理に逆らわないように仕事を組み立てることで、一日の負担を減らすことにつながります。
4. 翌日の午後を楽にする!疲れにくい体を作る習慣
その場ですぐに行う工夫も大切ですが、午後の不調を少しずつ減らしていくためには、日々のちょっとした習慣の見直しも大切です。明日からの午後を少しでも楽にするための、3つの習慣をご紹介します。
4-1. 昼食は「腹八分目」で主食に偏らない
午後の眠気やだるさを和らげるためには、昼食の量と内容が重要です。まずは食事の量を「腹八分目」に抑え、よく噛んでゆっくり食べることを心がけましょう。また、うどんや丼ものなど糖質(炭水化物)だけに偏った食事は避け、豚肉や大豆製品(豆腐や納豆)などのおかずも一緒に食べるよう意識してみてください。
4-2. 朝の光を浴びて体内時計を整える
夕方の疲れやすさを減らすには、「朝の過ごし方」も関わっています。朝起きたら、まずはカーテンを開けて太陽の光を浴びましょう。朝の光を目に入れることで体内時計が整い、睡眠を促すホルモンが出るのがいったん止まります。そして、約14〜16時間後に再びそのホルモンが出る仕組みになっているため、夜になると自然な眠気が訪れ、良質な睡眠をとりやすくなります。
4-3. 夜は「40度以下のぬるめのお湯」に10分浸かる
その日の疲れを翌日に持ち越さないためには、お風呂に入って体を温めることが役立ちます。ただし、熱すぎるお湯に長く浸かるのは、体が休まらずにかえって負担になることがあります。40度以下の「ぬるめのお湯」に10分程度ゆっくりと浸かるのがおすすめです。お風呂で一度上がった体の熱が、お風呂上がりにゆっくりと下がっていくあいだに、自然な眠りに入りやすくなります。
5. 午前中から疲れている場合との違い(受診の目安)
午後の不調が「午後だけのもの」なのか、それとも「午前中から続いているもの」なのかによって、考えられる理由は異なります。
5-1. 午後だけ落ちる場合と朝から疲れている場合の違い
昼食後や夕方のみだるくなる場合は、体内時計の波や日中の疲れが主な理由と考えられます。しかし、朝起きた瞬間から疲れがあり、午前中もずっとだるい場合は、睡眠の質が大きく下がっているか、慢性的な疲労が溜まっていることが疑われます。
5-2. 寝ても休まらない場合はお医者さんに相談する
睡眠時間をきちんととっても日中の強い眠気や疲れが続く場合は、睡眠に関わる病気や、貧血、甲状腺の異常、うつ病などが原因となっている心配もあります。毎日の生活に支障が出るほど不調が長引いている場合は無理をせず、内科や心療内科などのお医者さんに相談してください。
6. よくある疑問(FAQ)
Q. 疲れをとるために、休日はとにかく長く寝た方がいいですか?
A. 疲れをとろうとして休日に昼まで寝てしまう(寝だめをする)と、体内時計が狂ってしまい、かえってだるさが増したり、夜の睡眠の質が下がったりしてしまいます(社会的時差ボケと呼ばれます)。休日の睡眠時間を増やす場合でも、いつもより+1〜2時間程度に留め、できるだけ一定の睡眠リズムを保つことが大切です。
Q. 夕方に気分が落ち込みます。ただの疲れでしょうか?
A. 夕方に気分が落ち込むのは、疲労や睡眠不足などでも起こりますが、原因はさまざまです。もし「何事にも興味が持てない」「食欲がない」といった状態が2週間以上続く場合は、うつ病の症状であることも考えられます。このような状態が続くようであれば、心療内科や精神科への相談を検討してください。
Q. どうしても疲れが取れない時は、まず何科を受診すればいいですか?
A. まずはお近くの内科、または日頃から通っている「かかりつけ医」を受診することをおすすめします。血液検査などで貧血や甲状腺の異常など、体に病気が隠れていないかを確認してもらえます。もし体に異常が見つからず、気分の落ち込みや不眠が続くようであれば、医師と相談のうえ心療内科や精神科を検討するとよいでしょう。
7. まとめ:手軽な対処法を取り入れ、少しずつ習慣を見直そう
午後になると「疲れて動けない」と感じるのは、私たちの体に備わっている概日リズムのほか、日中のストレスや活動量、睡眠不足などが重なっていることが原因です。
強い眠気やだるさには、「短時間の仮眠」や「ストレッチ」「少量の間食」といった対策を取り入れてみましょう。そして、明日以降の不調を減らすために、昼食の量や朝の過ごし方、夜の入浴など、できるところから少しずつ生活習慣を見直していくことが大切です。
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Published by よきだね編集部