ビタミンEの効果とは?抗酸化作用から血行・肌への働きと食べ物を解説
ビタミンEには具体的にどんな働きがあるのでしょうか。 冷えや肩こり、シミなどの原因は生活習慣やストレスなどさまざまですが、もし「血行不良」や「細胞の酸化」が関わっている場合、食事からビタミンEを補うことが体の状態を整えることに役立つかもしれません。
ビタミンEを食事でしっかり補うことで、主に以下のような働きが期待できます。
- 細胞を酸化から守り、血管や肌の健康を保つことに役立つ(抗酸化作用)
- 末梢の血行を保ち、冷えや肩こり・手足のしびれの緩和に役立つとされる
- ホルモンの生成や、体を守る免疫の働きに関わる
ビタミンEは、細胞膜の中に存在して細胞を守り続ける、脂溶性のビタミンです。日本人が1日に食べる量は概ね目安の範囲内に収まっていますが、冷えや肌の調子が気になるとき、生活習慣を見直すひとつのアプローチとして日々の食事に取り入れると、体の状態を整えるサポートになります。
本記事では、ビタミンEが体に与える働きを詳しく解説し、効率のよい食べ方からサプリメントを使う際の注意点まで、今日から試せることをご紹介します。
1. ビタミンEとはどんな栄養素?
ビタミンEは、脂溶性ビタミンのひとつです。水には溶けにくく、油脂に溶けやすい性質を持っています。
ビタミンEはひとつの成分を指す名称ではなく、トコフェロール4種とトコトリエノール4種、合計8種類の化合物の総称です。このうち体内で最も多く存在し、体への作用がもっとも強いのは「α-トコフェロール」です。
体内では主に細胞膜のリン脂質二重層に存在し、細胞が外からの酸化による傷みを受けにくくする役割を担っています。
2. ビタミンEの主な3つの働き
ビタミンEは、抗酸化作用を中心に、血行・ホルモン・免疫と、体のいくつかの機能に関わっています。
1)抗酸化作用:細胞膜を守る
ビタミンEの主な働きのひとつは、抗酸化作用です。
私たちの体は、食事からエネルギーをつくる過程でフリーラジカルという物質をつくります。また、喫煙や紫外線、大気汚染といった環境の影響でも、フリーラジカルにさらされます。このフリーラジカルが細胞膜の中にある不飽和脂肪酸に触れると、酸化が進み、有害な「過酸化脂質」に変わってしまいます。
ビタミンEは細胞膜の内側に存在し、この過酸化脂質の生成を抑えることで、細胞が傷みにくい状態を保つことに役立ちます。また、血液の中を流れるLDLコレステロールの酸化も抑えるため、血管を健康に保つことにも関わっています。
肌への働きという点では、紫外線や大気汚染といった外からの刺激によるダメージから、肌を守る役割があります。肌が本来持つ健やかさを保つためのサポートとして働きます。
2)血行をよくする働き
ビタミンEには、血管と赤血球を柔軟に保ち、血液がスムーズに流れるのを助ける働きがあります。また、細胞膜を守る抗酸化作用によって赤血球が壊れること(溶血)を防ぐ役割も担っており、血管を広げて血液が固まりにくい状態を保つのを助けます。
肩こりや冷えの原因はさまざまですが、末梢の血行不良が影響している場合、ビタミンEがその緩和をサポートするとされています。気になる症状があるときは、運動や入浴などの見直しとともに、ビタミンEを意識して食べてみるのもよいかもしれません。
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3)ホルモンと免疫への関わり
ビタミンEは、ホルモンの生成や働きに関わると考えられており、女性の月経周期や更年期の体調変化との関連についても研究されています。年齢を問わず健やかな毎日を保つための大切な役割を持っています。
また、体内に侵入する細菌やウイルスへの抵抗を支え、免疫機能を保つためにも必要です。
3. ビタミンEに役立つ可能性が期待されていること
ここでは、メカニズム上「期待」はされているものの、サプリメント等での明確な予防効果が「医学的に証明されているわけではない(あるいは限定的な)」事柄について解説します。
1)老化防止やシミ・シワ予防への期待
ビタミンEには、シミやシワの原因となる「酸化ダメージ」から細胞を守る抗酸化作用があるため、美容面での助けになる可能性はあると言われています。しかし、サプリメントを飲むだけで肌の老化を止めたり、直接シミを予防したりするといった明確な医学的証拠があるわけではありません。あくまで体を内側から健やかに保つ成分のひとつとして捉えるのが基本です。
2)目の健康(加齢黄斑変性)への期待
高齢者の視力低下の原因として多い「加齢黄斑変性(AMD)」について、ビタミンEを高用量で他の抗酸化剤(亜鉛や銅など)と一緒に摂ることで、進行した患者の視力低下を遅らせる結果が示されています(厚生労働省eJIM)。ただし、これは特定の成分を組み合わせた場合の研究であり、予防目的でやみくもに大量摂取することは推奨されません。
3)認知機能(アルツハイマー病など)の低下予防への期待
「抗酸化作用が認知機能に良いのでは」と期待されることもありますが、信頼できる複数の研究において、ビタミンEのサプリメントがアルツハイマー病などの進行を防ぐという明確な証拠は現時点では確認されていません。
4)がんや心疾患の予防への期待
一部でそのような予防効果が期待されることもありましたが、信頼性の高い研究では、ビタミンEのサプリメントが心疾患を防いだり、がんのリスクを下げたりするという結果は確認されていません。むしろ高用量のサプリメントを長期間飲んだ場合に、がんのリスクが高まったという研究結果もあります(厚生労働省eJIM)。病気の予防目的ではなく、食事からバランスよくとることが基本です。
4. ビタミンEが足りないとどうなる?
1)足りないと起こりやすいこと
ビタミンEが足りなくなると、神経や筋肉に影響が出ることがあります。腕や足の感覚が鈍くなる、身体をうまく動かせなくなる、筋力が低下するといった変化が現れることがあります。
また、抗酸化力が下がることで、紫外線などのダメージから肌の細胞を守る力が保ちにくくなることが考えられます。血液の中のコレステロールも酸化しやすくなるため、血管の健康にも影響が及ぶことがあります。血行が悪くなることで、冷えや肩こりといった不調の一因になることもあります。
2)健康な人に欠乏症はまれ
一方で、健康な人に本格的な欠乏症が発生することは、まれです。ビタミンEの欠乏症は、脂肪の消化や吸収がうまくできない特定の疾患を持つ方に多く、通常の食事をしている健康な人がビタミンE不足で深刻な症状が出ることはまずありません。
ただし、肌の調子や冷えが気になる方は、食事からしっかり補うことを意識してみるのはよいことです。
3)ビタミンEが足りなくなりやすい人
ビタミンEはある程度体の中に蓄えておくことができるため、極端に「不足」する状態になることはまれです。しかし、以下のような生活習慣では「不足」の状態が続くことがあります。
- 朝食を食べない、または偏食が多い場合:食べる量が減ると、ビタミンE全体の摂取量も下がりやすくなります。
- 油脂をほとんど食べない場合(極端な低脂肪の食生活やダイエット中):ビタミンEは脂溶性のため、食事に油脂が少ないと吸収されにくくなります。
- 体調が崩れているとき(風邪、胃腸炎、手術後など):消化や吸収の働きが落ちると、ビタミンEも十分に取り込まれにくくなることがあります。
心当たりがある方は、アーモンドひとつかみをおやつに加えるなど、無理なく食べられるものからビタミンEを補う工夫をしてみるとよいでしょう。
5. ビタミンEとビタミンCを合わせると抗酸化力が高まる
ビタミンEは、ビタミンCと合わせて食べると、抗酸化の働きが長続きすることがわかっています。
脂溶性のビタミンEは細胞膜など脂質の多い部分で酸化を防ぎ、水溶性のビタミンCは水に溶けた環境で酸化を防ぎます。この2つが体の中で一緒に存在することで、脂質・水の両方の酸化を防ぎやすくなります。
さらに重要なのは、酸化してしまったビタミンEに対してビタミンCが働きかけ、ビタミンEの抗酸化作用を再び引き出す点です。ビタミンEの抗酸化作用が長持ちするようになり、しみ・そばかすの緩和や、手足の冷えやしびれの緩和に役立つとされています。
アーモンドなどのナッツと、キウイやブロッコリーなどビタミンCを多く含む食材を一緒に食べるのは、おすすめの組み合わせです。
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6. ビタミンEを多く含む食べ物と効率のよい食べ方
1)ビタミンEが豊富な食材
ビタミンEは、以下のような食材に多く含まれています。
ナッツ類はとくに豊富です。アーモンドは100gあたり30mgと多く、らっかせいにも11mg含まれています。
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植物油にも豊富に含まれています。ひまわり油は100gあたり39mgと多く、オリーブ油にも7.4mg含まれています。
魚介類では、うなぎ(7.4mg)、たらこ(7.1mg)、ぶり・はまち(4.6mg)などが代表的です。
野菜類では、モロヘイヤ(6.5mg)、かぼちゃ(4.9mg)、赤ピーマン(4.3mg)などに豊富に含まれています。
小麦胚芽も役立つ食材です。100gあたり28mgと、アーモンドと同じくらいの量が含まれています。そのままではおかずにしにくいですが、混ぜご飯や汁物、ヨーグルトに混ぜるなど、日常の食事に取り入れやすい食材です。
2)効率よく食べるコツ
ビタミンEは脂溶性のため、油と一緒に食べると体への吸収がよくなります。野菜に含まれるビタミンEは、オリーブ油で炒めたり、油を使ったドレッシングをかけたりするだけで体に吸収されやすくなります。
保存については、ビタミンEは光に弱いため、ナッツや植物油は光を避けて保存することが大切です。一方で、酸や熱には強いので、調理による損失はほとんどありません。炒め物や煮物にしても、ビタミンEは残ります。
7. 1日の目安量と、サプリメントを使うときの注意点
1)1日の目安量
2025年版の食事摂取基準では、1日に必要なビタミンEの目安量は以下のように定められています。
成人男性は18歳から64歳で1日6.5mg、65歳から74歳で7.5mg、75歳以上で7.0mgが目安です。成人女性は18歳から29歳で5.0mg、30歳から64歳で6.0mg、65歳以上で6.0〜7.0mgです。
日本人が1日に食べるビタミンEの平均は6.7mgとされており、通常の食生活を送っている方は概ね目安の範囲内に収まっています。
2)食事からの「とりすぎ」はまず心配なし
ビタミンEは体への蓄積が比較的少ない脂溶性ビタミンで、食事からとった分の3分の2は便として体の外に出ます。そのため、食事からとりすぎになることはほとんどありません。
3)サプリメントで多くとるときは注意が必要
一方、サプリメントを使って極端に多くとり続ける場合は注意が必要です。
多く飲み続けると、切り傷や怪我をしたときに出血が止まりにくくなる、または脳内での深刻な出血(出血性脳卒中)を招く可能性があります。また、近年の研究では、ビタミンEをとりすぎると骨量が減り、骨粗しょう症につながる可能性も示唆されています。
1日にとってよい上限の量(耐容上限量)は、成人男性で800mg/日、女性で650〜700mg/日と定められています。サプリメントを使う際は、目安量を守り、補助として活用しましょう。
4)サプリメントの活用が向いている人
次のような方は、食事だけではビタミンEを十分に補うのが難しい場合もあるため、サプリメントを補助として上手に取り入れるのもひとつの方法です。
- 仕事や家事が忙しく、食事の栄養バランスに気を配りにくい方
- 欠食する習慣があり、食事が不規則になりやすい方
- 油脂をとる機会が少なくなりがちな極端なダイエット中の方
- 食が細く、毎食の量が少ない方
その一方で、がんや心疾患の予防を目的とした大量摂取は現時点では効果が確認されていないため、大量に飲んでよいというわけではありません。食事を補うという考え方で、目安量の範囲で使うことが基本です。
8. ビタミンEについて「よくある疑問」
Q. 病院の薬と一緒にサプリを飲んでも大丈夫?
A. 注意が必要な薬があるため、必ず医師・薬剤師に相談してください。
ビタミンEのサプリメントは、一部の薬と相互作用を起こす可能性があります。たとえば、血液をサラサラにする薬(抗凝固剤)と一緒に飲むと出血のリスクが高まることや、コレステロールの薬(スタチンなど)の働きを低下させる可能性が示唆されています。薬を服用中の方は、サプリメントの使用前に必ず医療機関に相談しましょう。
Q. 食事からとりすぎになることはない?
A. 通常の食事であれば、ほぼ心配ありません。
食事からとったビタミンEは、余分な分が便として出やすいため、食材を食べてとりすぎが問題になることはまずありません。注意が必要なのは、サプリメントで極端に多くとり続けた場合です。
Q. 食品から摂るのとサプリで摂るので、働きに違いはありますか?
A. 栄養素の働きを引き出すため、まずは食品から摂ることが基本です。
サプリメントによる単一成分の摂取では病気の予防効果が確認されないことが多い一方、食品には食物繊維や他のビタミンなど、サプリにはない成分が含まれています。これらが一緒に摂れることで体の状態を整えることに役立ちやすくなるため、まずは毎日の食事から補うことが推奨されています。
Q. 加熱調理するとビタミンEは減ってしまいますか?
A. 熱に強いため、炒めたり煮たりしてもほとんど減りません。
ビタミンEは酸や熱に強い性質があるため、調理による損失は気にしなくて大丈夫です。一方で、光や酸素には弱く酸化しやすいため、ナッツ類や植物油はしっかりフタを閉め、冷暗所で保存することがおいしく効率的に食べるポイントです。
Q. 天然型と合成型のビタミンEはどう違う?
A. 天然型は合成型に比べて効力が高いとされています。
サプリメントや食品のラベルに「d-α-トコフェロール」と書かれているものが天然型、「dl-α-トコフェロール」と書かれているものが合成型です。天然型ビタミンEは、合成型に比べ体に吸収されやすく、効力が高いとされています。サプリメントを選ぶ際の参考にしてみてください。
9. まとめ
ビタミンEは、細胞を酸化から守る抗酸化作用を中心に、血行を保ったり、ホルモンや免疫の働きを保ったりすることに関わる栄養素です。
日本人が1日に食べるビタミンEの平均は目安の範囲に収まっており、食事から極端に不足することはまれです。肩こりや肌の悩みはさまざまな要因で起こりますが、アーモンドや魚介類、かぼちゃといったビタミンEが豊富な食材を油と合わせて意識して食べることが、体の内側から状態を整えるサポートになります。
「いろいろな食材を組み合わせる」「ビタミンCを含む食材と合わせる」「サプリを活用するなら目安量を守って補助として使う」といった点を押さえながら、毎日の食事でビタミンEをしっかり補っていきましょう。
参考情報
本記事の作成にあたり、以下の情報を参考にしています。
- 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット: ビタミンEの働きと1日の摂取量
- 厚生労働省 eJIM: ビタミンE(サプリメント・ビタミン・ミネラル)
- エーザイ株式会社: ビタミンEの働きや種類をご紹介!
Published by よきだね編集部